シャーロック・ホームズは長い間、低倍率の顕微鏡を覗きこんでいたが、 やっと体を起すと得意そうにこちらを振り返って言った。
「いまからパディントン駅へゆけば、ちょうど汽車の時間にいいだろう。詳しいことは途中で話すとして、 すまないが君のあの上等の双眼鏡をもっていってくれたまえ。」
「それはそうと、こんなひどい嵐の中を、わざわざやって来たところをみると、よほど重大な用事なんだろうな。」
「どうやらワトスン、行かなくてはならないようだ。」 「行くって!どこへ?」 「ダートムア。キングズ・パイランドへだよ。」
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